矯正治療をすると、なぜ歯が動いていくのでしょうか。歯は骨の中でしっかり固定されているわけではありません。「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれるクッションのような組織に支えられています。
この歯根膜にやさしく持続的な力が加わると、それに応じて周囲の骨に変化が促され、結果として歯が移動していくのです。
歯に矯正装置をつけることで力がかかると、圧力がかかった側では破骨細胞(はこつさいぼう:骨を溶かす細胞)によって骨が吸収され、反対側では骨芽細胞(こつがさいぼう:骨を形成する細胞)によって新たな骨が形成されます。
こうした「骨のリモデリング」により、骨の中で歯が少しずつ移動していくのです。この仕組みは、ワイヤー矯正もマウスピース型矯正装置を使った矯正治療のいずれでも共通しています。
ワイヤー矯正の場合は、使用するワイヤーの素材(ニッケルチタンやベータチタンなど)を症例ごとに選び、前述の歯根膜への過度な負担を避けながら調整していきます。
歯の表面につける「ブラケット」という装置の装着には、「インダイレクトボンディング法」を採用。模型上で理想の位置を決めてから専用トレーを使って効率良く装着します。
また、「セルフライゲーションブラケット」を採用し、ワイヤーの摩擦を抑えつつ、より少ない力で歯の移動が可能です。
従来型のブラケットは極細のワイヤーやゴムを使って、歯に力をかけるワイヤーを固定する必要がありましたが、セルフライゲーションブラケットなら開閉式のシャッター構造によりその手間が不要に。固定に使われる極細のワイヤーの端が唇に当たって痛むといった問題も軽減されます。
歯を移動させるには十分なスペースが欠かせません。そのため当院では「IPRバー」と呼ばれる極細の道具を用い、歯の表面を0.1~0.2mmほど削ってスペースを確保する処置を行うことがあります。
この方法は他の治療法と比べ、ほとんど痛みを感じません。さらにより広いスペースが求められるケースでは、急速拡大装置(きゅうそくかくだいそうち)や側方拡大装置(そくほうかくだいそうち)を使って、あごの幅を広げていきます。
矯正治療では「特定の歯だけを動かしたい」「奥歯はそのままにしておきたい」といった、細かい調整が求められるケースも出てきます。
そういった場合は「アンカースクリュー(TAD)」という小型のネジを一時的に骨へ埋め込んで、周囲の歯に影響を与えることなく、目的の歯だけを移動可能です。
当院では、「オルソニア」と呼ばれる電動トルクコントロールドライバーを使用して、確実かつスムーズにネジを埋め込めるよう心がけています。
より早く、確実に歯を移動させたい場合には、「マイクロオステオパーフォレーション(MOP)」と呼ばれる処置を行う場合があります。
MOPにより微細な刺激を与えることで骨の代謝が進み、治療期間の短縮につながるのです。
当院では矯正治療の開始前・治療中・治療終了のそれぞれの段階で、口腔内スキャナー「iTero(アイテロ)」と呼ばれる、お口の中をスキャンする道具を用いて3Dスキャンを実施し、歯の動きを細部まで記録・管理しています。
スキャンデータ上で、お口の中を360度あらゆる方向から確認可能。マウスピース型矯正装置を使った矯正治療だけでなく、ワイヤー矯正の場合でも、お口の中の見えない変化を可視化できます。
矯正治療で歯列を動かすと、元の位置に戻ろうとする「後戻り」の力が発生します。そこで治療終了後は、「リテーナー(保定装置)」という装置を一定期間歯に装着し、整えた歯並びを維持していくことが必要です。
当院では保定期間中も継続してお口の状態をチェック。治療終了後のアフターフォローにも丁寧に取り組んでいます。
矯正治療は力ずくで歯を動かすのではなく、人間の身体のメカニズムを理解した上で、それに調和した方法で歯並びを改善に導く治療方法です。
当院では長年の実績と最新技術で、患者さま一人ひとりのお身体に配慮した、より確実な矯正治療を目指します。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
午前 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
午後 | ○ | ○ | ○ | ─ | ○ | ○ | ─ |
午前:9:30~13:00
午後:14:00~17:30
休診日:木曜午後・日曜午後・祝日